今熊神社(遥拝殿)_東京都八王子市
名称 | 今熊神社(いまくまじんじゃ) |
住所 | 東京都八王子市上川町19 |
電話番号 | 0426-54-5201 |
社格 | ー |
御祭神 |
健速須佐之男命(たけはやすさのおのみこと) 月夜見命(つきよみのみこと) |
駐車場 | あり |
そのほか | トイレあり。周辺には売店どころか自販機もないため要注意。 |
Webサイト | 東京都神社庁HP |
JR新宿駅から青梅特快で拝島駅へ行き、そこで五日市線に乗り継ぐと、その終点駅が武蔵五日市駅である。都内とは思えない自然豊かな景色が広がるので、ずいぶん遠くへ来たものだと旅情を感じるが、実際は都心からほんの1時間程度の距離だ。
武蔵五日市駅からバスに乗って、「今熊山登山口」バス停で下車した。「今熊山登山口」という名前から、バス停のすぐそばに遥拝殿と登山口があると思っていたが、見当たらない。あたりを見回すと、道路を挟んで反対側に「今熊神社入口」と書かれた石塔が見えた。遥拝殿まではこの道を歩かねばならない。
道路わきの住宅が、道を進むにつれて減っていき、自然が豊かというか、寂れたというか、そんな景色が続いて少し寂しい気分になる。そんな道を15分くらい歩くと、今熊神社の遥拝殿に到着した。
鳥居をくぐって真っすぐに階段を上っていくと登山口へとつながるが、その左手に遥拝殿がある。境内には稲荷神社もあるそうだが、しっかりと確認はしなかった。
熊野本宮大社を勧請したとあるから、当時の御祭神は家都御子神(けつみこのかみ)だったのだろう。この神様は後にスサノオと同一視されたので、結果として当社の現在の御祭神もスサノオになったと思われる。一方で、もう一柱の御祭神であるツクヨミはどこから来たのだろうか。また、合祀されたはずの天神はどこへ行ったのだろうか。
創祀は安閑天皇の御代(530年代)であるが、式内社ではないようだ。勧請した熊野本宮大社を含む熊野三山は平安時代半ばごろから山岳仏教と結びつき、修験者(山伏)の修行場となったという。熊野系の神社であった当社も山岳仏教と結びつき、修験道の修行場となったのかもしれない。延喜式が成立する頃にはすでに修験道の霊場としての性格が強かったのだろうか。
ところで、呪力の強い山伏は天狗と結びつけられたと考えられている。今熊山が「呼わり山」となった所以の逸話をいわゆる「神隠し」現象であるとすると、その原因を天狗とする伝承があったかもしれない。当社の現在の神紋も、天狗を彷彿とさせる団扇紋である。現代でも深い山々に囲まれていて、登山口からひょっこり天狗が現れそうな雰囲気の、そんな神社だった。
*1:境内の御由緒書きを筆者が訳したものなので、怪しい箇所があります